原因がなんだってんだ


カウンセリングって悩みを解決するためのものだと皆思ってますよね?
でもどうして、「性格が・・・」とか「過去の経験が・・・」っていう相談内容になっちゃうんでしょう?
 


“問題行動の意味”にこだわるより“解決志向”でいこう 森俊夫 本の森出版 2001


そんな疑問にしっくり来る内容と、僕も実践している理論の書籍。



「理解し援助する」より「援助し理解していく」

援助者の仕事は
「問題行動や症状の裏にある真のメッセージを理解し翻訳しなおしてあげること」
と言われています。

これに対して著者は「ほんまにそう?」と疑問視。

例えば赤ちゃんが泣いているのをみて
「ミルクが欲しいのだな」と理解するだけ
そこに何の意味があるのかと問います。

赤ちゃんが泣いているのをみて
「オムツ交換しなきゃ」とオムツを開けたら違っていて、
ミルクかなと思ってミルクを与えようとしても飲まない。
抱っこしてあげたら
ようやく泣き止む。

お母さんは先に援助し、その結果として
赤ちゃんの要求を理解できたのです。
遠回りかもしれませんが、
母として素晴らしいことをしたと思いますよね。


原因や仕組みと解決


これまでのカウンセリングの手法では、
生育歴や家族歴を聴取し、
「見立て」を基に面接を進めていきます。

つまり、「このような環境が原因となって…」のように、
現在の問題行動や症状に原因を想定し、
それを探り当てることが解決への道であるとしています。

これに対しても著者は疑問視。

たとえば統合失調症は
原因がまだ分かってないにも関わらず
治療は進んでいるのが実際です。

逆に言えば、認知症は原因が分かっていても
現時点では進行を抑える薬しか存在していません。


日常で言えば
自転車に乗れるようになる時も、
乗り方や仕組みなんて分からなくてもいつしか乗れていませんでしたか。

つまり「分かった」から「できた」
のではないものが世の中には存在していて

特に人間は複雑な生き物であり、
問題なんて探せばいくらでも出てきますよね。

その問題行動は
誰かによって「こういう理由で問題だ」と意味づけされているのです。
つまり捉え方によっては問題でないことも、
問題だと意味づけされた時点で
問題に「なっている」ことがあるのです。



解決志向でいこう


だから「何が原因で・・・」という問題志向ではなく
「どうやったら良くなるか」という
解決志向に考え方をシフトする必要があります。

平たい言葉で言えば
理由はいいから、どうするの!
です。

この考えを基にする理論あるいは技法を
ブリーフセラピーとか
解決志向セラピーとか
あるいは家族療法の中の
システムズアプローチ
と言われています。

どうような工夫ややり方が取り組みやすいと受け入れられ、
解決の糸口になるのか
「なんでこうなった」のではなく「どうなりたいか」
にフォーカスする。

誰がこうだから、
とかではなく今の症状に対して、
本人やセラピスト、家族や周囲が
一致団結して解決に向かう!という図式になります。
つまり悪者を作らないことが
従来のカウンセリングとの決定的な違いなのです。

性格を変える?

ブリーフセラピーでは人間を移ろいやすい存在を考えています。
人間なんて時間とともに変化するのが自然。
安定的で変化しないように見えるだけなのです。
あるいは「こんな性格」と決めつけていることが変化を阻害する要因になっているでしょう。

明るい時もあれば暗い時も、
みんなでいたいときもあれば一人でいたいときも、
一人の人間にもいろいろな部分がありますよね。

多面的である人間の
どこか一部分だけを取り上げて
「私はこういう性格だから」と
決めつけることになんの意味があるのでしょう。

セラピーにおいて
自分の性格を理解するということは
何か一つに、人間を固定化させることなのでしょうか
それはクライエントさんの成長を阻害するのではないでしょうか。

性格を変える、のではなく
いろんな自分を知る。
「あ、こんな私もいるのか!」と気付くことこそ
自分が分かるということであり、
本当のセラピーなのではないでしょうか。


 

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