カウンセラーは悩みの原因なんて知らない


 

GWの間の平日

今月はGW思いっきり休んだ上に、
3週目に海外に行ったりと
更新頻度が落ちるかもです

臨床心理学ノート 著:河合隼雄 2003 金剛出版

今日はこの本について。
河合隼雄先生は日本の心理学の発展に貢献した偉大な方です。




この書籍は
よくある体系化されたものでなく

河合先生が実践を基に
自由に書かれたため
「ノート」となっているようで

とても読みやすい
でも深い読み物でした

内容は大学院で学んだものでも、
「こんな言い回しがあるのか」
「マネしよーっ」と盗みたくなる書き味でした

また忘備録的に書いていこうと思います

「××で困ってるのは」「○○だから」

原因が分かれば
悩みに対処できる

そう思って相談に
来られる方、結構多いです

はっきり言って
タイトル通り、
原因なんて知りません

かとって突き放してる訳
ではないんです

知らないといっても
こうかも、ああかも
と予測は立てています

でもすぐは伝えません
それは、それが
本当に原因か分からないから

偶然起こった事かもしれない
のに、断定できないから

原因を探す=
犯人探しになり兼ねない
だからセラピーが進まないから

がぱっと思いつく理由です

じゃあカウンセラーは何のために

たとえば
カウンセラーが
〈原因はこうですよ〉
と言うと、

クライエントさんは
頭で理解しても
「納得」は出来ない事が多いです
(仮に納得するならそれはカウンセラーに依存しています)

自分で
ああかな、こうかな
と「原因はこうと思います」
と考え、
その過程をカウンセラーに
支えてもらう事で
「納得」が生まれます

何が言いたいかというと
原因が分かることに
意味があったのではなく

自分で振り返って考えた
過程に意味があります

「人間は因果的思考が好きだ」
河合先生のおっしゃる通りです。

でも
因果的思考では
どうにもならないこともあります

四方八方ふさがれて身動き取れない
ってときありますよね。
そんなときに原因を探っても
複雑に絡み合ってて
余計こんがらがってしまう

そんなとき、ふっと
立ち止まって
自然に任せていると
解決の糸口がみつかるかも
しれません

そんなときカウンセラーができることは
深い関係性の中で
ただ目の前にいること

こういうとどうしても
カウンセリングって怪しい
って思われがちですが
こんなこともあるんです

これを「非因果的思考」と
本の中では言われています

またカウンセラーがする
アドバイスにも共通していると
思うんですが、

カウンセラーが
〈こうしたらいいと思いますよ〉
と伝え
仮にそれが解決に繋がったとします

するとカウンセラーも人間なんで
味を占めて
次もこの作戦で行こうって
なりがちですが、

いつもこのblogで言う通り
十人十色

その作戦が他のクライエントに
有効かは定かではありません

これを因果性の暴力と
取り上げられていました
気を付けるべきことです

さいごに

河合先生はやっぱり
心に響く書き味が多いなあと。

少し話はずれて
以前「見立て」について触れた記事があります↓

カウンセリングでの見立て


見立てで見落としていた事

「見立ては相互的である」
の言葉にはやられました

カウンセラーが
クライエントさんと
よりよく関わるため、
解決のために立てる
計画のようなもの

同時に
クライエントさんも
僕らカウンセラーに対し
「安心して話せるか」
「受け入れてくれるか」
など、見立てられているんだなと

私もまだまだ勉強が足りません。

他にも心理療法と笑いというテーマで
書かれた章がありました。

私は学生時代に
笑いについて事例を書いており
研究するつもりのテーマ

カウンセリング中に積極的に笑う
(つい笑ってしまう)
カウンセリングなのですが

その良さについて
裏付けを取ったような気分です

またそれも触れたいなと。



新装版もあるみたい。
今日もありがとうございました。
フィリピンたのしみだな~


コメント