芥川賞作品「火花」から学ぶ心理



GWということもあり
専門書はちょっと休憩し
違ったテイストで書いてみようと思います

「火花」 著:又吉直樹 2015 文藝春秋

お笑い芸人ピースの又吉さんの著書
2015年に芥川賞を受賞した
みんな知っている話題作ですね

今更感ハンパない! けど
ちょっとしたきっかけで
手に入ったので読んでみました


あらすじ

分かりやすいので、以下ハフポストの記事(2015.7.16)から引用

「僕」は熱海の花火大会での営業のあと、
飲みに誘ってくれた神谷と師弟関係を結ぶ。
同世代の芸人が次々と売れていくなかで、
僕も神谷もなかなか芽が出なかった。
しかし「僕」はその後、深夜番組に出る
など少しは売れ始めた。

しかし神谷は売れないまま、
同棲していた女性に恋人ができたため
女性の家を追い出された。
一方「僕」は、神谷を漫才で笑わせること
ばかり考えていた。
しかし、神谷は笑ってくれなかった。

その後、神谷は借金を抱え、
行方をくらましてしまった。
「僕」もその後、仕事が徐々に減っていった。
漫才の相方の彼女のお腹には赤ちゃんができ、
相方はその彼女との結婚を決意する。
それを機に10年続いた漫才コンビを
解散し、芸人を辞める決意をした。

「僕」は神谷と1年ぶりに再会する。
神谷は、笑いを追及し過ぎた果てに、
衝撃的な姿で現れた……。
ht tps://www.huffingtonpost
.jp/2015/07/15/naoki-
matayoshi-gets-akutagawa-award_n_7806808.html

私は読んでいて
徳永(僕)と神谷との関係の中で、
芸人として、母子関係の中で自立する過程
が描かれているように思えました
(これは本記事が好評だったら
また今度書こうと思います)

他にも神谷の哲学からは
カウンセリングにも通ずる
言葉があるなと

神谷の哲学からまなぶ。1

○「平凡かどうかだけで判断すると
非凡アピール大会になり下がってしまわへんか?.
..中略…
1つの基準だけを持って何かを測ろうとすると眼がくらんでしまうねん」

ある日の喫茶店での2人の会話
美しい世界を台無しすることが肝心
と語る神谷のセリフ

世間的に
"これ"を平凡だと判断すると
"これ"は流れていってしまう

世間にとっては平凡
なのかもしれないけど
私にとっては
面白くできるものかもしれない

1つだけの基準
(世間体や社会的ルール)
で自分の行動を評価すると
自分は平凡(美しいとされる世界)
に埋もれるか
非凡な自分を探すことに
疲れるか、になる

みんなこうしてるからこうしなきゃ、や
俺は人と違うぞ...に注目して、
自分らしさを見逃す

"これ"や"自分"を
違った角度から
みてみることの大事さ

を教えてくれた気がします

そのセリフの続きには
共感とは心地よく依存しやすい
強い感覚ではあるけど
創作に携わる人間は
どこかで卒業しなければならない

と語っており、
人間の成長をあらわしています

神谷の哲学からまなぶ。2

○「人を傷つける行為ってな
一瞬は溜飲が下がるねん。…中略…

俺な、あれ、ゆっくりな自殺に見えるねん。」

徳永が、神谷に
ネットでの誹謗中傷について
どう思うか尋ねた場面での
神谷のセリフ

誹謗中傷やイジメなどは
他者を批判したり下にみることで
自分の価値を保とうとすること

以前書いた記事の中の
"変化する事を恐れる衝動"
にも通ずることですが

そうやって自分を保つ間は
変化もなければ成長もない

成長がないということは
その先がないということ

それを「ゆっくりな自殺」と
表現する神谷というか
又吉さん。すごいなあ…


「可哀想やと思わへん?
あいつ等、被害者やで。」

こんな風に捉えられると
悪口を言われたとき
少し楽になれるかもしれませんね

神谷の哲学からまなぶ。3

○「徳永、おれが言うたことが現実的じゃなかったら、
いつもお前は自分の想像力で補って
成立させようとするやろ。
俺が変なこと言うても、お前は、変なことやと思うな。
すべて現実やねん。」

これはカウンセラー向けに
あるいは私の戒めに

目の前の人が訴える事が
論理的でないことだなと思ったとき
(変なこと言ってるとは思ってません。笑)
とくに感情が先行しているとき

カウンセラーは共感しようと
想像力を働かせて
理解しようとします。

悪いことではないと思いますし
実際そうするよう訓練してきました

でも、私の想像力の中で
成立させてしまい兼ねないこと
これは忘れてはいけないと思います

相手が言っていることが
自分の想像力を超えるもの
であっても、その通り
受け止めようとする

それがクライエントさん
にとっての現実だから

後に続く、神谷の
「どっちがよりここにある?」
という言葉に
ハッとさせられました。
いま、ここ。の大切さですね。

さいごに

まじめにピックアップ
したけれど

最初から最後の
オチまで
何回も吹いて笑ってしまった
この小説

お笑い芸人
ならではの視点なのか
小説家としての才能か

おもしろくて
ぐっと世界に引き込まれて
数時間で読み切っちゃいました

2人の漫才みたいな
掛け合い

生活の一部に
そんな相手がいたら
最高やろうなと
 
映画にもなったし
朗読Ver.もあるんですね

今日もありがとうございました。


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