カウンセリングと"日本人"




3日坊主にならなかった、よかった💦



今回は

「こころの病に挑んだ知の巨人-森田正馬・土井健郎・河合隼雄・木村敏・中井久夫」 著:山竹伸二 2018年 筑摩書房

を読んだので、書いてみます。
新書なので、心理職以外の方も読みやすいですよ!



5名の知の巨人


多くの心理療法は海外から輸入されたものです。

彼らも海外での研究や臨床経験をして
帰国した人たちです。

森田療法を開発し展開してきた 森田正馬
「甘え」の構造 を広めた 土井健郎
ユング心理学を輸入した 河合隼雄
「あいだ」の哲学 木村敏
風景構成法で著名な 中井久夫


ただ彼らは、海外で学んだことを
単に日本語に訳して広めようとしたのではなく、

自ら体験している日本人論と独自の人間観
持って、それを交えて理論展開されています。

著者の山竹伸二さんは、それぞれの理論から
共通する部分を取り出し、改めて
日本人に適した独自の治療法ではなく、
文化圏を超えた、世界でも評価される理論であること
導き出しておられます。

海外側からすれば逆輸入できうるモノだということですね。

印象に残っている部分


全部取り上げるとダラダラと
長い記事になるので、備忘録的に書かせてもらうと…

森田正馬では
人は「生きたい!」「死にたくない」という欲求があるせいで、
小さな事でも過度に心配し、自分を観察しすぎたり、
不安や心配を認めようとしない(死ぬことにつながる)ので
思考の矛盾が起こり、精神を病む(神経質)ということ。

土井健郎では
幼少期に適切な甘えを経験出来なかったせいで
大人になって「屈折した甘え」となって
問題が表出していること。ひがみやひねくれなども
甘えの屈折した形という説明には、そうそう!と思いました。

河合隼雄では
西洋と日本の昔話のオチに違いがあることから
両者の自我の特徴を捉えています。

木村敏では
精神疾患を様々な視点から捉えていましたが、
とくに時間論には、ほーっとなりました。
分かっているんだけど、こう言葉に表せるのかって感じです。
過去に縛られている「うつ病」、現在に縛られている「強迫症、躁うつ」
未来に縛られている「統合失調症」
こういった捉え方をすると、どの治療法が合いそうか
整理がつきやすいと思います。
また、西洋は神を信じる為に、罪悪感を背負い、自分の価値に帰属させるのに対し
日本人は、対人関係を自分の価値基準にしているという説明でした。


中井久夫では
人柄そのものが印象的です。患者を患者と診るのではなく
1人の人間として見る視点。
簡単そうで難しいと思います。私も日々意識しています。
「病気だから」「クライエントだから」という先入観は一旦置いてみる。
本当にその人に出来る事は何か、を考えたいものです。

知の巨人に共通するもの

日本の心理臨床を切り開いた先人たちに
共通するものは、

患者 ではなく
本来の人の在り方 を見つめること


「治す」よりも、自然に「治る」力を信じることや、
誰でも甘えたいとき、受け入れられたいときは
あると認める。

それらを上手く治療に取り入れてきた。

海外から輸入したものを邪険にすることなく
かつ日本の文化的背景を考慮して
独自展開してきた先人たちがいるから

今私たちがカウンセリングという
特別な時間をクライエントさんと共有して
なんらかのお役に立てるのだと

あらためて感謝しています。

今日もありがとうございました

世界どこでもカウンセリング


世界どこでもカウンセリング

コメント