カウンセリングのギフト券を作りたい -敷居を本気で下げるために-

コロナ時代に入って、カウンセリングのあり方をよく考えるようになった。
オンライン、オンラインと言われるようになり、心理業界でも変革が必要になってきている。それはシステムの導入というよりも、お作法とか倫理的な面での捉え方の見直しを求められている気がする。
僕は精神科勤務時代、いや大学院生の時からずっと
「カウンセリングの敷居を下げたい」と本気で思っている。
そう思っているカウンセラーが多いのは知っているけれど、
ではどうすればいいのか、いまいちしっくり来るものがなかった。


カウンセリングの敷居を高くさせている問題点

❶例えば、カウンセリング料金の相場は1時間弱で5000円だが、高いという声が多いので3000円に値下げするとする。
3000円×8人(8時間)×週5日×4週間=48万円
だが実際、毎日8人とカウンセリングするのは無茶だと思う。疲弊したカウンセラーに相談したいクライエントはいない。
それに報告書も書かなければいけないから毎日残業である。
毎日5人だと、30万円。開業の場合どうだろう。開業の場合そこから家賃などの経費を払ったり、自己研鑽のための研修会や学会に参加、書籍購入などしていると、残りのお金で生活をするのはかなり圧迫されると思う。
❷それから、「カウンセリングに通っていることは恥ずかしいこと」「弱い人間」など偏見を持っている人も大勢いる。
そういった人のために、目立たないところで開業している人もいる。しかし、「あそこは人にバレずにカウンセリングを受けられる」という風に人気になればなるほど目立ってしまうため、結局は敷居を下げるとは逆の方向に進んでしまう。
それからあれこれキャッチーな謳い文句でハードルを下げようとしているカウンセラーもよく見かける。もちろん有効な例もあるし、一度勇気を持って受けてみればなんてないことだと実感してくれるだろう。しかし、偏見問題にクリーンヒットしている感じはない。恥ずかしいものは恥ずかしいと思うのが人間と思う。
❸もう1つ、最近は胡散臭いという言葉は聞かないほどには浸透しているとは思うものの、「どのカウンセラーを選べばいいのかわからない、信じがたい。」という問題もある。
色々な民間資格があるからどれを選べばいいのかクライエントは分かりにくいだろうし、国家資格が誕生したとはいえ、公認心理師受験資格には少し疑念がある。個々人を否定するつもりはないが(占い師でも受けられるのかよ…)という気持ちが拭えない。大学院で勉強してきたというプライドがあるのかもしれないが。

敷居高い問題への僕なりの解答「カウンセリングのギフト券」

以上カウンセリングの敷居を高くしているであろう3つの問題をクリアするためにみんな試行錯誤しているのだが、現状としてあまり上手く行っていない気がしている。
僕も登録カウンセラーとして活動させてもらっているcotreeのオンラインカウンセリングは、運営会社のウィットに富んだ工夫やSNSの拡散力も利用してかなり普及されてきたように思う。家で受けられる気軽さや匿名性、カウンセラーやサービスのバラエティ性はクライエント側はかなり助かっていると思う。セラピスト側も安心してセッションに集中できている。
ただ3つの問題をすべてカバーできているかというとそうとは言いがたい。
もう一度言うが、僕は本気でカウンセリングの敷居を下げたい。
どうすれば、この3つの問題すべてを一気に解決できるか、ようやく思いついた。
「カウンセリングのギフト券販売」
誕生日や記念日、何かのお祝いごとで、知り合いや友人にカウンセリングを受けられる券をプレゼントする仕組みがあれば、敷居を下げられるのではないか。
・料金の問題への解答
友達への誕生日プレゼントの相場はどのくらいだろう。大事な友達だったら5000円くらいは出せるだろうか。恋人だったら10000円くらいは弾んでもいいだろうか。
きっと、カウンセリングを受けたいけど迷っている人の中に「自分に5000円使うのかぁ」「良くなるかも分かんないし、もったいなかったらどうしよう」と思って躊躇する人は少なくないのではないかと予想している。
カウンセリングを「自分では買わないけどもらったら嬉しいもの」に位置づけることで、あげる側も相手の幸福を願ったプレゼントができるし、もらった側もタダならカウンセリングを試してみたい、って思える。
それからカウンセラーも料金を値下げして身を削らなくてもいいので質の良いサービスの提供に繋げられる。
・受けることは恥ずかしいことなどの偏見問題への解答
僕はビジネスに詳しくないから偉そうなことは言えないけど、この問題の解決策は打ち出し方、と言うかプレゼントの仕方によるのかなと思う。
受け取る側に「私が病んていると思っているの?」「そこまで弱くねーよ」「カウンセリングを受けなければいけないほど酷いのかな」と思わせて強がらせてしまったら、このアイデアは成立しないどころかむしろ逆効果。だからプレゼントする側も注意が必要。
それから病態水準が重い人に1回のカウンセリングで何か出来ることも少ない。
だから謳い文句は「何かを頑張っている人の背中をもうひと押し」といった具合で、受診するほどじゃないけどちょっとストレス負荷がかかってるな、少し誰かに話を聞いてもらいたいな、という人にプレゼントすることをターゲットにしたら良いのではないかと思っている。カウンセリングを受けるのに少し抵抗があるのもちょうどその周辺の層が多いのではないかと思う。
・どのカウンセラーを選んだらいいか問題への解答
このアイデアを思いついた時、すぐにはじめたくて無料のECサイトに登録して販売を試みかけた。でもそこでハッと我に返り、「いったい誰が、どんなカウンセラーかも、どんなサービスかも分からないものをプレゼントするんだ?」と気づいた。
当然ながら、大事な相手には満足してもらえるものを送りたい。
つまり、このカウンセリングが良いものかどうかを知ってからプレゼントしたい。
これを解決するためには、一度そのサービスを利用したことがある、あるいはそのカウンセラーのカウンセリングを受けたことがある人に買ってもらうことが必要になる。「このカウンセラーとのセッション、このサービスを友達にも受けてもらいたい」と思ってもらえてはじめて、安心したプレゼントが成立する。
受け取った側も、「友達がオススメしているなら少なくとも怪しくはないだろう」と安心して受けられると思う。そこで自分でカウンセラーを選ぶことが出来ればなお良しだろう。
これまで、クライエントはカウンセラーを選べないことが多かった。初回でベテランカウンセラーがインテークをとってマッチングしたり、上司から割り振られたりして、2回目のセッションで担当のカウンセラーと出会うのがスタンダードだった。
オンラインカウンセリングをしている今、カウンセラーも選ばれる時代なんだなぁと感じている。

終わりに。 読んでくれた皆さんへ。

以上3つがカウンセリングの敷居が高い問題への僕の解答。
カウンセリングを「自分では買わないけどもらったら嬉しいもの」に。
この言葉が我ながら気に入っている。敷居が低くなった頃には、本当にその位置付けになっていると思う。
これを読んでいるカウンセラーのあなたにも相談してみたいあなたにも
お願い事をするのでここから急に敬語。笑
これを実行するには、僕1人じゃ何も出来ません。特に3つ目のどのカウンセラーを選んだら良いか問題。
だからもし、これを読んでくださって面白いと思ってくださった方の中で、開業しておられたり、オンラインカウンセリングサービスを運営しておられる方はぜひ取り組んでほしいです。敷居を本気で下げるために協力して欲しいです。
例えば、カウンセリングを受け終わった後の画面や、クライエントのアカウントページに「カウンセリングギフト券を送る」「カウンセリングをプレゼントする」みたいなボタンがあってそこから購入できるような仕組みがあって、購入者がシリアルナンバーや説明書きを友達に転送して(いきなりnoreply@xxxx.comなどからメールを受け取っても怪しいので…)プレゼント完了。受け取り側が指定されたURLから予約するという流れで、実現可能だろうと思います。
3つの問題を乗り越えてカウンセリングを受けている方で、カウンセリングは有効だと思っている方は、ぜひ友達にカウンセリングを勧めてみてください。特にさっきも書いた通り、何かを頑張っている人の背中をもうひと押しする形で。(現状はプレゼントすることが出来なさそうなので…友達を紹介することは良くないとするカウンセリングの考えを持つ方もいるのが実際です。)
ウィズコロナの時代に入ってニューノーマルを新しく創っていくことが求められている今だから、カウンセリングの敷居を本気で下げにかかれるんじゃないかって期待しています。
最後まで読んでくださりありがとうございます!


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